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夫婦ふたりで霧島温泉へ―レンタカーで巡る7日間の鹿児島旅

子どもたちが巣立ってから、家の中がずいぶん静かになった。夫と向き合って食卓につくとき、ふと「このまま日々が過ぎていくのはもったいないな」と思うようになった。

私は東京生まれの東京育ちで、52年間ずっとこの街で暮らしてきた。旅行といえば子どもたちを連れた家族旅行ばかりで、夫とふたりだけでゆっくり出かけたことは、思い返せばほとんどない。新婚旅行以来かもしれない、と夫に言ったら、「じゃあ行くか」と珍しくあっさり賛成してくれた。

行き先はすぐに決まった。霧島温泉。以前テレビで見た白い湯けむりと、緑深い山の風景がずっと頭の片隅に残っていたのだ。鹿児島は遠いようで、飛行機を使えば意外と近い。調べてみると、福岡空港から乗り継ぐルートが便利だとわかった。そして、福岡空港でレンタカーを借りて鹿児島まで自分たちのペースで走る、という旅のかたちが自然と浮かんできた。

レンタカー選びの決め手になったこと

レンタカーを探し始めたとき、まず驚いたのが料金の幅の広さだった。同じ車種でも会社によって値段がずいぶん違う。有名どころは安心感があるけれど、7日間となると費用もそれなりになる。もう少し賢く選べないかと探しているうちに、「業務レンタカー」という名前が目に入った。

業務レンタカーは長期レンタルを主軸にしているだけあって、長期利用での料金設定がとても良心的だった。7日間という今回のような旅にはぴったりで、大手と比べると費用がかなり抑えられることがわかった。

業務レンタカー福岡空港の営業所は空港からのアクセスもよく、到着してすぐに乗り出せそうなのも魅力だった。ETC車載器もデフォルトで付いていると知って助かると思った。節約できた分を温泉宿の食事や現地のお土産に回せるのが、正直いちばんうれしいところだった。

福岡空港から鹿児島へ―九州の景色に心がほぐれていく

羽田から飛行機で福岡へ。福岡空港に降り立つと、空気がどこか柔らかかった。業務レンタカーの営業所で手続きを済ませ、コンパクトなセダンのキーを受け取る。スタッフの方が丁寧に車の説明をしてくださって、ETCカードのセットのしかたまで確認させてもらえた。

九州自動車道に乗り、南へ向かう。窓の外に広がる緑の山並みを眺めながら、夫が「東京とぜんぜん違うな」とつぶやいた。私も同じことを思っていた。高速を走るにつれて、肩の力がじわじわと抜けていく感覚があった。

熊本を過ぎ、えびのインターで降りると、空気がひんやりと変わった。霧島の山に近づいているのだと肌で感じる。このドライブ自体が、旅の始まりだった。

霧島温泉/初日の夜

宿にチェックインしたのは夕暮れどき。窓を開けると、山の稜線の向こうに茜色の空が広がっていた。硫黄の香りが微かに漂ってきて、「ああ、温泉地に来たんだ」と実感が追いついてきた。

夕食は宿の食事処で鹿児島の郷土料理をいただいた。黒豚のしゃぶしゃぶ、地鶏の刺身、さつまいものデザート。夫も珍しく「うまい」を連発していた。食事の後にもう一度温泉に入って、その日は早めに床についた。久しぶりにぐっすり眠れた気がした。

霧島を歩く2日目・3日目

翌朝、レンタカーで霧島神宮へ向かった。朝一番の境内は静かで、杉の巨木が朝霧の中にそびえていた。参道を歩きながら、夫と並んで手を合わせる。こういう時間が、日常の中ではなかなか持てない。

霧島神宮の後は、丸尾滝へ。温泉の湯が直接流れ込む珍しい滝で、湯けむりが滝壺から立ち上っている光景は幻想的だった。レンタカーがあるおかげで、バスの時間を気にせず次の場所へ移動できる。このペースの自由さが、ふたり旅にはとても合っていると思った。

3日目は、えびの高原までドライブ。標高が上がるにつれて視界が開け、眼下に広がる霧島連山の雄大さに言葉を失った。夫が「来てよかった」とぽつりと言った。私も、そう思った。

指宿へ足を延ばす4日目

せっかく鹿児島まで来たのだから、と相談して4日目は指宿まで足を延ばすことにした。砂むし温泉で有名な場所で、以前から一度試してみたかったのだ。

霧島から指宿まではレンタカーで1時間半ほど。桜島を横目に見ながら、海沿いの国道を走る。青い錦江湾と、煙を上げる桜島の組み合わせは、東京では絶対に見られない景色だった。

砂むし温泉は想像以上に気持ちよかった。砂の重みと熱さが全身を包んで、体の芯からじんわりほぐれていく感覚。一緒に入れないのが少し残念だったけれど、上がった後に夫と「どうだった?」と話し合うのも楽しかった。

鹿児島市内へ―桜島と向き合う時間5日目

5日目は鹿児島市内へ移動。フェリーで桜島へ渡り、溶岩なぎさ遊歩道を散策した。足元に広がる黒い溶岩の大地と、頭上にそびえる桜島の姿は圧倒的だった。普段の生活では決して感じることのない「大地のスケール」というものを、体で受け取った気がした。

夜は天文館で鹿児島ラーメンと白熊(かき氷)を。甘さと冷たさで疲れが吹き飛ぶような感覚で、夫と顔を見合わせて笑った。ふたりで笑い合う時間が、この旅でこんなに増えるとは思っていなかった。

霧島に戻り、最後の温泉三昧―6日目・7日目

6日目は再び霧島温泉へ戻り、宿をのんびり楽しむ一日にした。温泉を朝・昼・夜と三度入り、読みかけの本を読んで、夕食の時間まで縁側でお茶を飲んだ。こんなふうに「何もしない時間」を旅先で過ごしたのは、本当に久しぶりだった。

最終日の朝は名残惜しくて、宿の温泉にもう一度だけ入った。白い湯の中で目を閉じると、この7日間のいろんな景色が浮かんできた。霧島の山、丸尾滝の湯けむり、砂の中の温かさ、桜島の黒い大地、夫の横顔。

チェックアウトの後、レンタカーで福岡空港へ向けてのんびり走り始めた。来たときと同じ道なのに、帰り道はなぜかもっと景色が沁みてくる。

7日間を振り返って―レンタカーで過ごした九州の旅

福岡空港店でレンタカーを返すとき、「7日間お世話になりました」という気持ちが自然とわいてきた。たった一台の車が、私たちふたりの旅のすべての移動を支えてくれた。

長期利用でも費用を抑えられたおかげで、浮いた予算を温泉宿のグレードアップや地元のおいしいものに使うことができた。自分たちのペースで行きたい場所へ行けるレンタカーの自由さは、ふたり旅の豊かさをぐっと引き上げてくれるものだと実感した。

東京に戻ってから数日が経つ今も、霧島の湯の感触と山の空気が体の中に残っている気がする。52歳にして、旅の楽しさをもう一度教えてもらった旅だった。

次はどこへ行こうか、と夫に話したら、珍しくすぐに「どこでも行くよ」と言ってくれた。それだけで、十分だと思った。